◆話題の本のご案内

瞽女力入門(ゴゼリョクニュウモン)

国見修二・著

・盲目の女旅芸人、瞽女や村人などの「ことば」92篇を解説。それは人生を豊かにする切り札でもあった。
・瞽女さんたちの「ことば」を、越後在住の詩人が、その心を写し出しながら解説する。親子、いじめ、ひきこもり、修行など、それは生きていく現代人にとっても大切な教訓ばかりである。
・瞽女さんて何?どう読むの?
読めなくて普通。瞽女は、ごぜと読む。漢字で書けといわれてもなかなか書けない。瞽女とは、簡単に言えば目の見えない女性が三味線を弾き、瞽女唄を歌いその報酬としてお金やお米をもらって生活していた女性だけの集団といえる。
・瞽女さんは全国にいたが、最後まで残ったのは越後瞽女だった。昭和40年代までにほぼ、現役の瞽女さんは姿を消した。
・小林ハルさんは1978年に重要無形文化財(人間国宝)に選ばれました。


・B6判  並製本 総224頁
・定価  1,200円 (本体1,091円+税)
・ISBN978-4-947666-80-2


【掲載内容】
ことば92篇とその解説
❐気心の許せる人とだったら、どんな目に遭っても辛抱できる
❐誰もが苦しい時代だったが、人の心はやさしかったね
❐良い人と歩けば祭り 悪い人と歩けば修行
❐正直に一生懸命生きていれば、神様が見ていて必ずお陰を下さる
ことば (抜粋)


■著者略歴
国見修二(くにみしゅうじ)
1954年新潟県西蒲原郡(現新潟市)生まれ
上越教育大学大学院修了
日本詩人クラブ会員
上越詩を読む会運営委員
高田瞽女の文化を保存・発信する会理事

■国見修二の既刊本
瞽女歩く』 挿画・斎藤真一 A5判 定価 2,096円
瞽女と七つの峠』      A5判 定価 1,466円
母守唄 母は焚き木です』   A5判 定価 1,980円


万能薬のような一家に一冊置いてほしい本

映画「瞽女GOZE」 監督 瀧澤正治

 不思議な縁だ、瞽女、瞽女唄、小林ハルそして国見修二、僕は何故この人と出会ったのだろうか、どうしてハルさんに魅かれたのだろうか、僕は何故映画「瞽女」を作ろうと決心したのだろうか、この三つの問いの答えがこの著書『瞽女力入門』のなかにある。

 これまで瞽女というと民俗学者の文化、社会とかの研究対象でしかなかった。学術的な内容で真摯に瞽女文化をテーマとして取り組み、文化の歴史を民間伝承のおもな資料として長い時間をかけて作成し、まとめあげた学問書は確かに必要なものかもしれない。でも一般庶民の目から見ると難しく、なかなか手に取って見たいと思わないものがある。確かにそれらの書籍は歴史的、民族学的な観点からの考えると価値があり重要なものであると思う。でも瞽女さんをもっと違う観点からの内容で彼女らの存在を知らしめ、興味を抱かせ、その内容から学ぶ事のできる書籍がでないものかと思っていた時、国見さんから相談があった。「監督!今僕は『瞽女力入門』という本を出そうとしているのですがまた無駄になるかと思うと、どうも前に進まなく執筆が止まっているのです」と言う。書く者、映画を作る者、絵を描く者には誰にでも落ち入る不安で本が、映画が、絵が多くの人が見てくれるかと思うと、そこで全てが止まり諦めてしまう事があるのです。

 僕は国見さんに言いました。「自分が書こうとするものの価値を自分が信じなくては人生生きる価値がなくなってしまいます。僕も応援しますから是非進めて完成させて下さい」と、翌日から国見さんは再び書き始めました。そして数ヶ月後「監督!書き上げました。応援ありがとうございます」との連絡、そしてコロナウイルス禍のピンチがチャンスに変えたのです。映画の公開が3月から7月に延びたお陰で出版のスケジュールが上映と重なり多くの皆さんに『瞽女力入門』を届ける事ができたのです。

 この本は決して瞽女さんから描いているだけでなく、彼女らを待ちわび心から喜んだ村人からの視点でも見ている内容です。お互い様、御陰さまという日本人の心の原点を描き、それは生きとし生けるもの達がお互いに手を取り合い助けあう姿を見る事ができます。

  • ひとりの力ではなく、みんなの力です。
  • あの瞽女さんだって一生懸命うたっているし、生きているんだ。
  • 瞽女さんというものは、ふたりによって一人前なのだから、みんな手を

つないで生きなくてはならん。

  • 誰もが苦しい時代だったが、人の心はやさしかったね。
  • 旅で辛いのは雨や雪ではない。辛い言葉をかけられることだ。
  • 正直に一生懸命生きていれば、神様が見ていて必ずお陰をくださる。
  • 必要とされなくなったら瞽女も人間も終わりなのだ。
  • せっかくこの世に生まれてきたがに、精一杯楽しく生きなけりゃ損だが。
  • 自分の心さへ汚さなければ、人様の温かい真心が見えて素晴らしい人に出会う。
  • 目の見えるものが落として、目の見えないものに拾ってもらった。
  • 心の目で見る瞽女そのものでした。
  • 苦は楽のタネだがね。

 生き生きと光り輝く宝石を鏤めた『瞽女力入門』から滲み出る力強い言葉は、人生を生きる為の大きな力となり、希望の光りになるのです。

 この本は是非若い方達に読んで欲しいものです。これからの人生において壁が立ち塞がった時きっと力になってくれる一冊だからです。哲学書のような難しい事を書かれている訳でもなく、お説教くさい内容の本でもありません。何故彼女らの言葉が胸を刺し心ふるわせるのか、それは彼女らの言葉には魂が存在するからなのです。

 僕はハルさんに出会った時、瞽女さんと瞽女唄を知った時、何か自身の心を浄化する感動を覚えました。人生、人を羨ましがらず、人を差別せず、人を恨まず、人に歓びを与え健気に生きた姿と、彼女らの言葉は人生に歓びと勇気と生きる力を授けてくれ、自分が抱える悩みや辛さ、哀しさ、イジメもとるに足らないものだと気づき、全てが解き放され、挫けそうな心を励ましてくれました。映画「瞽女GOZE」を完成するまでには17年という歳月がかかりました。でもその間多くの人々と出会い、多くを学びながら挫けず、諦めず、人の冷たさ、興味のなさにもめげず必ず瞽女映画を成し遂げるという夢と力と目標を持ち続けられたのは何か、漸くここへ辿り着いて分かったのです。それは…瞽女力という目に見えない偉大な力を自然と学び、それを活かして来た事だと、僕はあらためて小林ハルさんをはじめ時代を生きた多くの瞽女さん達に心を込めて深く感謝をします。

 『瞽女力入門』はどこから読んでも、いつ読んでも、一気に読んでも、少しずつ読んでも、疲れた時に読んでも、悩んだ時に読んでも、哀しい時に読んでも、こんなに読みやすく力をもらえる『瞽女力入門』は万能薬のような一家に一冊置いて置く様な大切な本なのです。国見修二さんにひと言「あなたは人生の集大成を書き上げました。おめでとうございます。そして出会いに感謝」。

『文芸たかだ』より

谷文晁の事績

著・磯崎康彦(福島大学名誉教授)

江戸絵画の大御所、その軌跡を探究

谷文晁(1763-1840)は、現今とは異なり江戸画壇の大御所であり、落語にも登場する著名人であった。文晁は狩野派をはじめ、明清のみならず宋元の中国絵画を、さらに石川大浪から西洋画も習得した。寛政四年(一七九二)に田安家出身で老中松平定信附御絵師となった。定信は、文武奨励をとなえ、幕府の教学であった朱子学を正統化し、伝統文化保守の為、文晁に命じて『古画類聚』や『集古十種』を編纂させた。『石山寺縁起絵巻』を補完させたのも、伝統文化の保護であり教示である。他方、異国船がわが国の近海に出没するなか、海防政策が問題となり、文晁に命じて『公余探勝図』や木版画異国船図を描かせた。谷元旦、谷文一、谷文二らが文晁の教えをうけて画家となり、また写山楼からは多くのすぐれた門人が輩出された。渡辺崋山、高久靄崖、佐竹永海、田能村竹田ら多士済済である。


・A5判(148×210㎜)
・上製本 総366頁 カバー掛け
・文中図版掲載80点
・口絵カラー8頁、9点

■定価 8,148円 (本体7,407円+税)
ISBN978-4-947666-78-9


【主な内容】

第1章 前期(天明、寛政年間)の谷文晁

・文晁、加藤文麗や渡辺玄対のもとで学ぶ
・文晁と熊阪家の人々―文晁、高子二十境図を描く―
・松平定信の海防政策と文晁
・『集古十種』と文晁

第2章 谷文晁と蘭画

・文晁の「泰西画法」の師、石川大浪の生涯
・文晁の「泰西画」理解

第3章 中期(享和、文化年間)の谷文晁

・田能村竹田、文晁に師事す
・文晁、『石山寺縁起』巻六、巻七を補完
・『日本名山図会』と文晁
・文化六年、渡辺崋山、文晁に師事す

第4章 後期(文政、天保年間)の谷文晁

・浴恩園での松平定信と文晁
・文晁、鷹見泉石と交友す


駒井哲郎 煌めく紙上の宇宙

横浜美術館学芸員、片多祐子氏の論文が第31回「倫雅美術奨励賞」を受賞する。

企画・監修 横浜美術館

銅版画の詩人といわれた駒井哲郎の全貌と、創作活動に影響のあった画家、詩人、音楽家などとの交流が美術館学芸部の研究により解明される。それらの作家ルドン、クレー、恩地孝四郎など約60点の作品も掲載されている。

・B5変型判 (240×190㍉)
・並製本 総272頁(カラー160頁) カバー掛け
・掲載作品278点(駒井哲郎212点)
・本文・章解説/作品リスト=英訳付
・年譜/主要参考文献

■定価 2,852円 (本体2,593円+税)
ISBN978-4-947666-76-5


【主な内容】

[図版]
第1章 銅版画との出会い
第2章 戦後美術の幕開けとともに
第3章 前衛芸術との交差
第4章 フランス滞在と「廃墟」からの再生
第5章 詩とイメージの競演
大岡信/安東次男/中村稔/野間宏/小山正孝/埴谷雄高/金子光晴
丸山薫/谷川俊太郎/福永武彦 他
第6章 色彩への憧憬

[文章] 英訳付
序にかえて/逢坂恵理子
駒井さん/粟津則雄
銅版とPas de deux ― 師・駒井哲郎の日々/中林忠良
東西の美術・文学・音楽の交差点としての駒井哲郎/片多祐子(横浜美術館・学芸員)

[資料]
駒井哲郎の交友関係を読む
舞台美術「一目見て憎め」写真アルバム
関連作家解説
恩地孝四郎/長谷川潔/岡鹿之助/清宮質文/瀧口修造/山口勝弘/浜田知明
武満徹/オディロン・ルドン/パウル・クレー/レンブラント・ファン・レイン
ロドフル・ブレダン/ジョアン・ミロ 他

著者略歴
駒井哲郎(こまい てつろう 1920-1976 )
東京都日本橋生まれ。1935年西田武雄が主催する日本エッチング研究所に通い始め、デッサンやエッチング、ドライポイントを習い始める。同所で関野凖一郎、笠木実らを知る。1942年東京美術学校(現・東京藝術大学)油画科本科を戦争のため繰り上げ卒業。1952年瀧口修造を顧問とする実験工房に参加。安東次男、丸山薫ら詩人とオリジナル版画による詩画集も多く刊行、銅版画の詩人といわれる。後年、東京藝術大学の教授となり、多くの画家を輩出する。


母守唄 母は焚き木です

詩・国見修二

国見さんの詩の一篇一篇は、どれも読み手

それぞれだれかの母親像にたどり着くものばかりです

        -日本子守唄協会会長 西舘好子-

・A5判
・上製本 総144頁 カバー掛け
・掲載詩240篇
・序/西舘好子(日本子守唄協会会長)
・画/松永伍一
口絵(カラー)1点
挿画、カバー7点

■定価 1 ,980円 (本体1,800円+税)
ISBN978-4-947666-79-6


【掲載内容】

第一章 遊び
第二章 食べる
第三章 豊饒
第四章 深く
第五章 浄化

著者紹介
国見修二 (くにみ しゅうじ 1954-)
新潟県まれ。上越教育大学大学院修了。
日本詩人クラブ会員。上越詩を読む会運営委員。高田瞽女の文化を保存・発信する会理事。

書評 読売新聞 2019.4.28
書評文・一青窈
著者、息子から母に逆流する愛の洪水の如く、想いは花と咲き、幹となって耐え、鬼のように暴れ、星のごとく瞬き、幾度も疑問の音になる。まるで恋煩いのような瑞々しさと、やがて来る生の終わりを予感した焦りをも同時に孕ませ、文字通り、燃えつきるまで、焚き木のようにその思いをくべてゆくのだ。(抜粋)

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