編・三木哲夫

浜口陽三が1940年から94年までに折りにふれ新聞や雑誌などに発表した文章や対談など50篇をまとめた初の著述集。
パリを愛し、パリに生きた浜口のパリ観、食や料理に関する話、版画の技法やカラーメゾチント技法の工夫など、浜口の人となりや版画の魅力を伝える一冊。

―では、大切になさっているものとは?
「まあ、あえていうなら、ぼくの作品で大切なのは光かもしれない。闇に対する光という意味でね。だから闇、つまり黒の部分はもっと大切なんです。
それと、ぼくはフィクションが好きなんです。たとえば《パリの屋根》は実際の風景とは全然違うでしょう。ぼくの心象風景のパリの屋根を表現したら、ああなったわけ。西瓜やさくらんぼにしても同じですよ。だから数十年後のある朝、ふと浮かんできた形を絵にすることもあるんです」 (「第四章 自作を語る」より)


・A5変型判(195×148㎜)
・上製本 総224頁
・収録作品 口絵18点 本文17点

■定価2,420円(本体2,200円+税)
ISBN978-4-947666-23-9


【主な内容】
第一章 パリと私
第二章 つれづれに
第三章  版画と技法
第四章 自作を語る

著者略歴
浜口陽三 (はまぐち ようぞう  1909-2000)
和歌山県有田郡生まれ。東京美術学校(現、東京藝術大学)彫刻科に入学。1930年に同校を退学し、パリに移住し、油彩画の制作に専念する。38年にパリで最初の個展を開く。40年、第2次世界大戦を避け日本へ帰国。53年に再びパリに移住する。57年、第1回東京国際版画ビエンナーレで国立近代美術鑑賞を、第4回サンパウロ・ビエンナーレで版画大賞を受賞する。晩年はサンフランシスコに移住。99年、東京に転居し、翌年12月永眠。